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経済小説名作選 (ちくま文庫)
07/30/2020 10:59:46, 本, 日本ペンクラブ
によって 日本ペンクラブ
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内容紹介 【収録作家】葉山嘉樹、横光利一、源氏鶏太、城山三郎、開高健、深田祐介、木野工、井上武彦、黒井千次、山田智彦。時代精神を描く10作品。 内容(「BOOK」データベースより) 過酷労働、高度成長、コマーシャル時代、海外進出、昭和の男たちはどう働いてきたのか?
ファイル名 : 経済小説名作選-ちくま文庫.pdf
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昭和55年7月、最初に集英社文庫で発行され、ちくま文庫で再刊されたもの。経済小説の名目で選集が出された最初のものだと巻末の城山さんと山田智彦氏の対談解説にある。戦前から昭和50年代まで数多く書かれた小説の中から、経済・ビジネス(その中での仕事)を軸に人間の描かれたもの(本に取上げられたものは中・短編が多い)を、10篇集めている。多いのは作家の初期の世に出るきっかけとなったもので、この人がこんな作品を書いていたのかと作家の多面性に気付いたり、結構興味を惹かれつつ読み終えた。昭和から平成に時代は代わり、仕事もパソコンやネットの活用で変化しつつあるが、その背景にある仕事をする人間、組織上下や横の関係、家庭と仕事、民と官、法律、他国とのビジネス慣習の差などなど、ビジネスマン・ウーマンの悩み、苦しみが、この中の種々の仕事に描かれるように今も昔も変わらないものだと理解される。収録内容は1、セメント樽の中の手紙:葉山嘉樹(大正13年)~セメント樽(当時セメントは樽に入れ取引された)の中から手紙が出てくるがその手紙の背景には何があったのか。2、機械:横光利一(昭和5年)金属ネームプレート製造所での古参、途中入社、企業秘密を盗みに期間工で入った3名の三つ巴で引き起こされる人間関係のねじれ。(改行のほとんど無い特徴的な文章だ)3、随行さん:源氏鶏太(昭和25年)戦後のサラリーマン小説の創始者ともいうべき源氏鶏太氏の描く中堅社員の登竜門である社長に随行しての地方出張の出来事4、輸出:城山三郎(昭和32年文学界新人賞)城山氏の出世作になるミシン業界の海外輸出に従事する現地商社マンの仕事生活5、巨人と玩具:開高健(昭和32年)開高氏の出世作パニックに続く作品、サントリーの広告担当で理解を深めた商品広告の世界を製菓業界に置き換えて書かれた佳作。6、あざやかなひとびと:深田祐介(昭和33年文学界新人賞)日航勤務を下敷きに、航空業界に勤める人々の裏表を新入社員の目で7、樹と雪と甲虫と:木野工(昭和36年)巨大台風でなぎ倒された大量の北海道の原生樹林を木材として生かすため材木業経営者の政官を巻き込んだ巨大プロジェクトの企画実行と挫折8、黄色い微笑:井上武彦(昭和37年)地方新聞の広告部長の広告欄を企業に売り込む企画と実行9、聖産業週間:黒井千次(昭和43年)ある日突然仕事ぶりが変わった同期の課長代理の変化の原因と見つめる隣の自分の生き方10、特別休暇:山田智彦(昭和43年)ある日部長に呼ばれ「自宅にて休養を命ず」と一枚の辞令を突然渡されたサラリーマン最後に対談解説で各々の小説の選ばれた訳を城山氏が語る。(自分の経験から大学の経済学でこのような本を課題として読み、どのように対処するのかを考える時間があれば、実社会で遭遇する様々な問題を乗り越えるのに役に立つと感じるが…)良書。
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