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ヴュイヤール:ゆらめく装飾画 (「知の再発見」双書166)

07/23/2020 13:36:48, , ギィ・コジュヴァル

によって ギィ・コジュヴァル
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内容紹介ナビ派、親密派、日本趣味――何気ない風景をあたたかく描くエドゥアール・ヴュイヤールは、ピエール・ボナールやモーリス・ドニとともにナビ派を代表するフランスの画家のひとり。大胆に切断される構図と平面的な展開や、短縮法、調和性を重視した色彩表現を駆使した絵画作品を制作した。また、ベル・エポック時のパリにおいて、室内装飾や舞台美術も精力的に手掛けた。人物像としては、厳格で繊細。ストイックに制作に励み、生涯独身を通した稀有な画家の作品と歩みを紹介。◎「日本語版監修者序文」より 多くの個性的な芸術家がフランス近代美術の歴史を彩るなかで,ナビ派を代表するエドゥアール・ヴュイヤール(1868-1940年)の存在は,いささか陰に隠れているかもしれない。19世紀末のパリでは,ポール・セリュジエ,ピエール・ボナール,モーリス・ドニなどの若手の芸術家が,ポール・ゴーガンからの影響を受けて,預言者を意味する「ナビ」という言葉で自らを呼び,造形的革新を探求していた。 このような動きにヴュイヤールも参加するが,真の意味でゴーガンに心酔はせず,自分の芸術的実践を続けながら,独自の領域を切り開いていった。ただし,耳目を集める逸話,社会を騒がすようなスキャンダルとは無縁であり,独身を貫くなかで,1928年に亡くなる母と同居しながら,穏やかでつましい生活を送った。それゆえ,母,姉,姪などの家族がモデルとして作品に頻繁に登場し,身の回りのありふれたものに囲まれたプライベートな室内空間が,繰り返し描かれた。家庭的で親密な特徴を備えた作品は,彼の「アンティミスト」としての傾向を示している。対象は歪んだ視点や遠近法のなかで捉えられ,ゆらめく筆致がもたらす効果によって,運動するエネルギーが画面にあふれている。大半の作品はどこかしら曖昧であり,多義的な解釈の余地を残している。 本書はヴュイヤールの生涯と画業を,専門的知見を交えながらわかりやすくまとめており,日本語で読める最良の入門書となるだろう。ただし,国立西洋美術館を初めとするいくつかの館を除けば,日本でヴュイヤールの作品を目にできる場所は少ない。 1970年代に国内の美術館や画廊で行われた数度の展示を例外とすれば,彼の名前を冠した展覧会は長らく開催されていない。それでも,2010年に国立新美術館で開かれた「オルセー美術館展2010 ポスト印象派」は,ヴュイヤールの画業を代表する8 点の作品が並び,実に印象的な展示空間に仕上がっていた。そして,2017年には三菱一号館美術館で「オルセーのナビ派展」が開催される。 近年,ヴュイヤールの作品収蔵に関するニュースが世間を賑わせている。ヴュイヤールを再評価しようとする機運は徐々に高まっており,本書の日本語訳の刊行も,こうした動きの一環として捉えられるかもしれない。〔目次〕第1章 ナビが語りかけること第2章 演劇におけるように第3章 密室の戦略第4章 大装飾第5章 時の仕事第6章 パラダイスにて資料編著者について著者:ギィ・コジュヴァル1955年パリ生まれ。国籍はフランス、カナダ。1982年から1984年まで、ローマのフランス・アカデミー宿泊研究員。イタリア・ルネサンス期の建築からヒッチコックまで、研究対象は幅広い。リヨン美術館学芸員、ルーヴル美術館学芸員、ルーヴル美術学校教授、カナダ・モントリオール美術館館長などを務め、この間、ヴュイヤールのカタログ・レゾネを編纂し、2003―04年に米加仏英を巡回した「ヴュイヤール展」や2006―07年の「モーリス・ドニ展」の主任コミッショナーを務めた。2008年からオルセー美術館館長。著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)コジュヴァル,ギィ ローマのフランス・アカデミーで学ぶ。エコール・デュ・ルーヴル(ルーヴル美術学校)教授。フランス文化財博物館館長、カナダのモントリオール美術館館長などを経て、2008年からオルセー美術館およびオランジュリー美術館館長を務める。「ナビ派の時代展」、「ヴュイヤール大回顧展」など、数多くの展覧会を企画している 小泉/順也 1975年生まれ。東京大学教養学科卒、東京大学大学院総合文化研究科博士課程修了、博士(学術)取得。現在、一橋大学大学院言語社会研究科准教授。専門はポール・ゴーガン、ナビ派を中心とするフランス近代美術史 遠藤/ゆかり 上智大学文学部フランス文学科卒(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
ヴュイヤール:ゆらめく装飾画 (「知の再発見」双書166)を読んだ後、読者のコメントの下に見つけるでしょう。 参考までにご検討ください。
ヴュイヤールについて紹介した美術書を初めて見ました。ヴュイヤールを紹介した本がこれまであったのかと調べてみると40年ほど前に出版されていたようですが、久しく見たことがなく、実に貴重な出版でした。「知の再発見」双書166にあたり、昔から珍しい画家もこのシリーズに多く登場しています。ハンディなサイズですので、一つの作品をじっくりと鑑賞するということよりも、手軽にその画家の生涯と作品を俯瞰してみるというのに適していると思いました。当方もヴュイヤールは以前オルセー美術館関係の美術展で少し鑑賞したことはありますが、その生涯や様々な作品を見る機会がなく、新鮮な発見をしながら読了しました。解説も詳しく、図版もサイズは小さいですが豊富です。7割程度がカラーのページですので、ヴュイヤールの特徴である美しい装飾性などもストレートに伝わってきます。著者のギィ・コジュヴァルさんは、オルセー美術館館長で、ヴュイヤールや同じくナビ派のモーリス・ドニなどの展覧会にも関わっている方ですから、著作内容の確かさも担保されていました。ちょうど今、丸の内の三菱一号館美術館にて「オルセーのナビ派展美の預言者たち ―ささやきとざわめき」が開催されていますので、実にタイムリーな出版ですし、その展覧会に合わせたのは頷けます。本書の表紙に使用されたのは自画像で、実際は八角形のフレームに収まっていました。題名も「八角形の自画像」だそうで、17ページに紹介してありました。「黄色い髪、ピンクの顔、オレンジ色のひげ、影をあらわすグレーの色面が荒っぽく並べられた」という解説が付されていました。実に特徴のある画風でした。

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