SASセキュリティ・ハンドブック

自分が読んだSASの名前を冠した本の中ではあまり参考にならなかったです。普通に普通の人が考える民間防衛とあまり変わらない気がする部分が大半（前半部分）を占めています。当たり前のことではあっても、危険な目に遭わなくて済むように常に事前の入念な準備、チェックを怠らないことが大切であるというのがわかります。前半は、あくまで、日常生活でのセキュリティなので、すでにここに書かれている色々な対策している方が多いと思われますが、確認したり、よりよいやり方で防犯するためにはいいと思います。この前半部分が半分近くを占めるので、SAS特有の何かを期待して買うと肩透かしを食らうかもしれないけれど、決して悪い本ではありません。後半の一部には、あまり日本では役に立つことはないだろうけれども、海外に行った時や非常事態時に役立ちそうなことがあり、大変参考になることもありました。後半はVIPとエグゼクティブの警護、敵性地域での活動について書かれていて、こちらはSASとまでいかなくても、あまり普通の人間が知らないことなので、参考になります。（テロや襲撃に備える時の注意点、警護計画に関してが書かれています）ただし、VIPとエグゼクティブの警護に関しては、詳しくは書かれていないです。大雑把に基本的で重要なことのみです。これを読むと、犯罪者側の狙う点が分かるので、どこを護るのが効率的かなどがわかり、そういう点で参考になると思います。詳しく知りたい場合は、実際の犯罪統計を見たほうがいいかもしれないです。一番参考になったのは、敵性地域での活動での、銃器類が実際に当たる時はどういうときなのか、どの銃器はどこまでが射程距離なのか、銃器類から身を護るにはどうしたら効果的かということを書いた部分です。その中でも、銃弾に対する遮蔽は何が有効かということがとても参考になりました。（特にあまり車の陰に隠れるのはよくないが、仕方がない場合に、どの位置に隠れるのがベストか）そのほかでSASらしい部分というと、他のSASの本でも読んだことがありますが、蛆虫療法、蜂蜜・砂糖での殺菌、コンフリー、若干のサバイバルテクニックなどがあまり普通の防犯の他の本には書かれていないところだと思います。個人的にはこの数ページが一番参考になりました。（ただ、知らなくても、よく考えればわかることかもしれないですが）SASのこぼれ話がそこここにある点ではSASという名をつける意味はあるのかもしれないけれど、SASだけがしているとか、SASじゃないと語れないようなセキュリティの本ではありません。なので、普通に防犯の本を読むのとあまり変わらないといえば変わらないけれど、ちょっとしたこぼれ話を知りたい方にはいいのではないでしょうか。最後に、情報が古いのか、一部SASの名を冠した本によくあるのですが、コンフリーを食用や薬用に用いる記述があります。しかし、コンフリーは、厚生労働省により平成16年6月に肝障害を起す事例が多数報告されているとして、食品販売禁止、摂取を控えるように通達しているので、よほど非常事態でない限り、食さない方がいいと思われます。（一時期、日本でも健康食とされていましたが、現在は食べないようにとされています）その他、下痢止め薬や天然のアスピリンの作り方なども記載されてはいますが、毒性も強いので、素人が作るのはやめたほうがいいと思われますが、話としては面白かったです。